旅人の手記 三冊目 ‐ 蝉海のブログ -

日常のよしなし事や、マンガ・アニメ・ライトノベルなどのポップ・カルチャーに関する文章をつらつらと述べるブログ。その他の話題もたまに。とっても不定期に更新中。

コラム

『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』の魅力の核には、オールドガンガン系作品の特徴である『優しさ』が潜在している

ガンガンONLINEで連載中のマンガ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』(谷川ニコ)について語られる際、取り挙げられる本作の特徴として次のような言葉がよく見受けられる。「非リアもの」「痛々しい失敗譚と成長物語の同居」「百合百合しさ」な…

今のTwitterは議論ができないどころの話ではない

「Twitterでは議論にならないことが多い」 こんな嘆きを耳にして久しい。 私は、それはそうだ、と思う。何故なら、そもそもTwitterは「リプなどで各tweetの前後関係が乱され易く、議論などシステム上成立し得ない」し、「議論の前提であるはずの、『主観的な…

マンガ版『カゲロウデイズ』の結末におけるアヤノの決断が提示した「分裂と創造」というモティーフ

じん(自然の敵)Pが展開するメディアミックス・プロジェクト「カゲロウプロジェクト」の一角である、マンガ版『カゲロウデイズ』が2018年2月発売の「コミックジーン 2019年3月号」を以ってその連載を終えた。そして今月の27日にその最終巻である13巻が発売…

『劇場版まどマギ』は「ループもの」そのものに対する叛逆だった

先日ですが『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 叛逆の物語』を、 TSUTAYAでDVDを借りてきて鑑賞しました。 物語は完全に本編と繋がっているため、 アニメ視聴者か総集編の劇場版二作品を鑑賞した人向けになっています。まず総評からいくと、演出や特殊効果が本…

『ノーライフキング』と周縁作品に関する断想

先週の日曜日だが、ゆりいかさんが開催された読書会に参加した。課題図書は前に申し上げたとおり『ノーライフキング』(いとうせいこう)である。「あの夜(よ)の読書会 開催のお知らせ」 ―「ハロー・ブンガク・グッドバイ」 大学のゼミを髣髴とさせるよう…

「如月シンタローの友情物語」として見る『カゲロウプロジェクト』

※ 以下の作品について、核心的な部分についてのネタバレがあります。 マンガ『カゲロウデイズ』1〜5 (著・じん 作画・佐藤まひろ 刊・メディアファクトリー)1〜5 小説『カゲロウデイズ』1〜5(著・じん 刊・エンターブレイン) アニメ『メカクシティアクタ…

『さよならなんて云えないよ(美しさ)』と『突然』とにおける〈特権的瞬間=カイロス〉の差異性

小沢健二さんの『さよならなんて云えないよ(美しさ)』という曲の中で、次のようなフレーズがあります。 「左にカーブを曲がると 光る海が見えてくる 僕は思う! この瞬間は続くと! いつまでも」小沢健二『さよならなんて云えないよ(美しさ)』 この箇所…

「自分」という不可思議

あなたは自分の存在を不思議だと思ったことはありませんか? 恐らく誰しも一度は、こうした疑問を抱いたことがあるはずです。「自分はなぜ自分なんだろう」――何故自分は、この世界、この時代、この国、この街、この家に、自分は生きているのだろう、と。少し…

ネット上で『批判』という言葉が指す言文について

今日友人の方と、twitter上での炎上について色々話す機会があって、ちょっと思ったことがあります。 最近SNSなどでよく、言い合いになる場面を見かけますよね。例えば、誰かがきつい物言いをした際に「アイツは脊髄反射的に批判を行う」「それは単なる人格批…

奈須きのこの『空の境界』と三島由紀夫(二)

仏教には「唯識」という考え方があります。 それは人間の存在原理は、五種類の感覚(五感)とそれを意識する知性、 そして二種類の無意識の領域から成り立っている、という説です。 その二種類の無意識のうちの一つが、「阿頼耶識(あらやしき)」というので…

奈須きのこの『空の境界』と三島由紀夫(一)

先日、奈須きのこさんの商業デビュー作である『空の境界』を再読しました。 そこで少し気になった表現や設定がありました。ひとつは「魔的」という言葉。 「ふん――たしかに、こいつは魔的だ」奈須きのこ『空の境界(上)』講談社 P.36 このセリフは主人公の…

マンガ雑誌に対する興味・関心がなくなった

このまえ知人の方々と会った時、 ふとしたことからマンガ雑誌の話になりました。 あの雑誌は今どういう作品が連載していてどういう読者がついているだの、 そんな感じの話が小一時間ほどされました。 しかし私はほとんど話題に加わることなく、半ば聞き流し…