旅人の手記 三冊目 ‐ 蝉海のブログ -

日常のよしなし事や、マンガ・アニメ・ライトノベルなどのポップ・カルチャーに関する文章をつらつらと述べるブログ。その他の話題もたまに。とっても不定期に更新中。

哲学

倫理の授業を受けたことがない

タイトルの通りです。 実は私。大学で哲学を学んでおきながら、 高校時代にまともな倫理の勉強をしたことがありません。「倫理」という授業自体は1年のとき必修で受けさせられましたが、 実際は世界史をやっていたため、全く学んでいないも同然なのです。 い…

三島由紀夫による〈外面―表面への意志〉と美的死生観(後編)

・ 死――、内と外の合一。及びカイロスの問題について 『鏡子の家』(1959年)は三島の作品の中でも、「筋肉」と「美」の関係性と「死」の問題について、徹底して考察された指折りの一作である。あらすじは次の通りだ。 資産家の令嬢である鏡子の家には、四人…

三島由紀夫による〈外面―表面への意志〉と美的死生観(前編)

序文 三島由紀夫は、内面の外面への還元、及び両者の合一という問題に対し、その命を以って敢然と挑んだ作家であった。 通例、人間をして内面とは精神のことであり、表面とは肉体のことを示す。このような「内と外」の二元論はソクラテス以来、西洋において…

「カゲロウプロジェクト」のメドゥーサ観――「見る≠所有する」というアンチテーゼ

※ 以下の作品について、核心的な部分についてのネタバレがあります。 マンガ『カゲロウデイズ』1〜5 (著・じん 作画・佐藤まひろ 刊・メディアファクトリー)1〜5 小説『カゲロウデイズ』1〜5(著・じん 刊・エンターブレイン) アニメ『メカクシティアクタ…

『さよならなんて云えないよ(美しさ)』と『突然』とにおける〈特権的瞬間=カイロス〉の差異性

小沢健二さんの『さよならなんて云えないよ(美しさ)』という曲の中で、次のようなフレーズがあります。 「左にカーブを曲がると 光る海が見えてくる 僕は思う! この瞬間は続くと! いつまでも」小沢健二『さよならなんて云えないよ(美しさ)』 この箇所…

「自分」という不可思議

あなたは自分の存在を不思議だと思ったことはありませんか? 恐らく誰しも一度は、こうした疑問を抱いたことがあるはずです。「自分はなぜ自分なんだろう」――何故自分は、この世界、この時代、この国、この街、この家に、自分は生きているのだろう、と。少し…

ネット上で『批判』という言葉が指す言文について

今日友人の方と、twitter上での炎上について色々話す機会があって、ちょっと思ったことがあります。 最近SNSなどでよく、言い合いになる場面を見かけますよね。例えば、誰かがきつい物言いをした際に「アイツは脊髄反射的に批判を行う」「それは単なる人格批…

大学時代お世話になった先生が退職されました

大分前のことになりますが、 私の通っていた大学で専任教授を務められていたT先生が 今年の3月末いっぱいでご退職されました。 (非常に著名な方なので実名でも大丈夫かと思いましたが、 一応伏字で記述致します) 長年務められていた方で人望もあり、 今年…